夏の
森村泰昌展が面白かった
横浜美術館、この冬はGOTH展を開催中。 zoomaniaこういう意欲的な企画展が大好きです。 現代美術における「ゴシック」の定義、ぜひ教えて貰おうじゃありませんか!
そもそも「ゴシック」って、文脈によって全く違うものを指す言葉。 zoomaniaの軸足は美術史に置いているので、ゴシックと言えば中世ヨーロッパの教会建築なのだが、小説やポップカルチャーのゴシックってゴシック美術と関係あるの?
ゴス展の広報資料で予習したところによると、関係あります。 12〜16世紀の重厚な美術や建築物にインスパイアされて書かれたのが
「吸血鬼ドラキュラ」 や
「フランケンシュタイン」など、18〜19世紀のゴシック小説。 そのゴシック小説の世界観に影響を受けてるのが、現代のゴス・カルチャー。 なので、映画
マトリックスや
マリリン・マンソンの音楽とフランスの
シャルトル大聖堂は、直接は関係ありません。 わかったような、わからないような。
とにかく、現代のゴスとは「死」「痛み」「トランスジェンダー」や「狂気」など、世の中のメインストリームから逸脱する趣味のこと、くらいに覚えておけば良いみたい。
ゴス展に出品しているのは、6組の現代アーティスト。 うち3組が日本人でした。
「死」を直截的に表現した木彫の髑髏(作:リッキー・スワロー)、永遠に変容し続ける異形の四肢のアニメーション(作:束芋)、性同一性障害者のセルフポートレートの連作(作:ピュ〜ぴる)など。 うう、どれも痛そう。
古い絵画に刺青を施した作品のDr.ラクラは、この日会場にいました。 ご本人も体中刺青に覆われており、嘘は無いというか、ご自身の世界観を体現してました。 館内にはビデオインスタレーション作品(作:イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッター)の不穏な呻き声が響いており、ゴシックなムード満点だ。
部外者にも理解しやすいのは、原宿に生息するゴス&ゴスロリの若者のポートレイト写真(作:吉永マサユキ)。 作品数が多く、中には彼らのプライベートな部屋の中で撮られたものもあり、圧巻です。
ゴスの世界を外側から見た作品は、吉永マサユキ氏のポートレートのみです。 そしてゴスなアーティスト達5組のうち2組(イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッターとピュ〜ぴる)の作品は、自分自身を題材にした作品だ。 2/5って、多いように思うのだが、どうだろう?
想像するに、死や病にロマンチックなものを見いだすゴスな人たちは、自意識の量が多すぎる人種なのではないかな。 世界とも、自分自身とさえも折り合いがつけられず、生きづらさに苛まれている感じ。 彼らの自己表現を作品として観るのは面白いけど、友達になったら苦労しそうだ。
あのね、個人的な経験から言うと、あまり自分の事って考えすぎない方が、精神の健康のためには良いよ。
館内の
カフェ小倉山にて、アイスティー¥350とラズベリー・ラテ¥400。
ゴス展限定メニューのワッフルプレートというのも、有りました。 ワッフルに生クリームとブルーベリーのソースがかかってて美味しそうなんだけど、どの辺がゴス?
相方:「赤いソースが血糊みたいなんじゃない?」
あ〜、なるほど(笑)。
横浜美術館のゴス展、お正月の1月2日にゴス&ゴスロリの衣装で行くと、入場料が割引になるそう。 さらに! 吉永マサユキ氏に写真を撮ってもらえるそうなので、ご趣味のむきはぜひ。
参考サイト:
イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッター氏の公式サイト
ピュ〜ぴる氏の公式サイト
Phofa.netの吉永マサユキ氏のブログ
OzArts onlineのリッキー・スワロー氏のページ
Ufer! Art Documentaryの束芋氏のページ
THE SAATCHI GALLERYのDr.ラクラのページ
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